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UP!
- 愛すべき名機<AKG>のヘッドフォンたち -

(2013年 11月20日・12月7日 更新。K712PRO・K612PRO 緊急レポート追記)


AKGとの衝撃の出逢いは、今からおよそ13年前の1992年11月に遡ります。
その前になぜ、ヘッドフォンに興味を抱くことになったかを簡単に申しますと…

1972年頃からビートルズの音楽を自宅のステレオ装置で聴き始めたのが
オーディオに興味を持つことになったきっかけ。
しかし当時のステレオ・スピーカーがあまりにボヘボヘ(ブーミー)な音だったため、
手軽に高音質を楽しめるヘッドフォンで音楽を楽しむことに、次第に傾倒していきました。

それまで家屋にて使用したヘッドフォンメーカーを回想してみると、3社ぐらい。
1978年前後に手に入れた、A社製の某ヘッドフォンの透明感溢れるサウンドに
出逢ったときの感動は、今でも鮮明に覚えています
そのケーブルが断線してしまった後、次に入手したのが、ドイツのS社製のもの。
頭に載せていることを忘れさせてくれるほどの軽快な装着感だったのですが、
低音の伸びに対する不満がどうしても解消せず、やむなく手放すことになったのが
冒頭に記した、1992年11月のことでした。

名古屋大須のとあるオーディオショップにて、さまざまなメーカーのヘッドフォンを
聞き比べしていたところ、とあるヘッドフォンに出逢い・・・
そこから流れ出た透明感あふれる艶やかな音を耳にしたその瞬間、
まるで頭を棒で殴られたような、そんな衝撃すら憶えました。

それが次の写真にご紹介する、オーストリア・AKG(アーカーゲー)社製、K500です。

K500

K500

当時 定価\50,000したこの「高級機」を8掛けで入手。
(その後K501という機種に後継されたのち、製造中止となりました。)
保管方法を誤ったせいか、ヘッドバンドの左右のアジャストゴムが完全に伸びきって
しまっている無残な姿が、上の写真でご覧いただけるかと思います。

しかし流れ出てくる音は13年前とほとんど変わりないどころか、13年間に及ぶ
エージング効果も相まって、広大なダイナミックレンジと恣意的な音の色付けを
まったく感じさせない超フラットレスポンスは今もなお、素晴らしいものです。
「中高音域に比べて、低域が少し弱い」と酷評されることも少なくありませんが、むしろ
「超低域までスムーズに伸びている」という評価のほうが正しいのでは、と思われます。



このK500を最後に止めておけばよいものを…人間の欲望にはキリがないのでしょうか、
さらなる上の音を求めてしまいました。

そこで次に手に入れたしたのが、同じAKGの K141-Monitor。

K141-Monitor
K141-Monitor

このK141-Monitorを購入(\15,300)したのは、1998年11月。
K500があるにもかかわらず、なぜこれを手に入れたかったかと申しますと・・・
NY録音のジャズ系アルバムで演奏しているスタジオミュージシャンの頭の上に、
ほとんど例外なくこのヘッドフォンが乗っていたのです。
もちろん昨今の米国版CDでも、このK141を解説書内の写真で目にするのは
そんなに難しいことではありません。

「K500と比較して、いったいどんな音が…またモニター用とは?」
などと興味がふつふつと湧き出してしまい、試聴もそこそこに衝動買いした次第。
で、肝心の音のほうですが・・・

中低音域の張りが多少強調される音色。
ただその分、高音域への伸びが少々犠牲になっているような感じがしました。
掛け心地は最初違和感があるものの、頭を揺らしてもずれたりしないタイトなホールド感。
ベースの音色が強調されるノリのよい音質に、装着後のホールド感があいまって、
「あぁ・・・これがスタジオモニター用ヘッドフォンの特徴なのだな」
と、自分なりに納得した次第です。ただひとつ耳ならぬ喉に引っかかったこと、それは
「う〜ん、しかしモニター用ということは、リスニング用のK500よりも原音に近い、
という意味ではないのだろうか。
とすると、もう1タイプのモニター用ヘッドフォン(K240-Monitor)はいったい
どんな音色なんだろう。さらに原音に近いのではなかろうか・・・」という「小骨」。

これを本当に最後にすべきだったのですが…4年前に引っかかったその小骨を
喉に大切に?残したまま、時が流れて行きました。


そうこうしているうちに最近、たまたまネット上でAKGのサイトを眺めてみたら・・・
リニューアルされたK240-Monitorの記事が目に飛び込んできました。

「ううっ、4年前喉に引っかかった小骨の痛みが再び疼いてきた・・・」
ということで、この2003年1月に、AKGモニター用ヘッドフォンのもうひとつの代表格、
K240-Studio をついに(というよりも衝動的に^^;)手に入れることに。

K240-Studio
K240-Studio

このK240-Studioを購入したのは、2003年1月のこと。
問題のその‘小骨’の音は・・・
K141-Monitorと比べると低音域のタイト感が少し気になりましたが、
高音域の伸びはK141-Monitorのそれよりも遥かに自然なものとなっていました。
では、その10年前に入手したK500と聞き比べると、どうなるか・・・?

K141-Monitor(from leftside)

K500(from rightside) K240-Studio(from rightside)

・・・結論から先に申し上げますと、K500そしてK240-Studioのいずれも
素晴らしい定位と解像度、そして広大なダイナミックレンジを誇っていますが、
最終的な選択としては、リスナー個々人の好みに帰着せざるを得ないと考えます。

ただ極めて感覚的ですが、ひと言で表現するならば・・・
*音の自然さ(フラット・レスポンス)を優先するならばK500
*音の密度(エネルギー感)を優先するならばK240-Studio
という選択に繋がろうか、と思われます。

例えばジャンル別で選択するならば、
◆クラシック、声楽、アコースティックジャズなどのアコースティック系 → K500
◆ロック、ポップス、クロスオーバーなどの非アコースティック系 → K240-Studio
特に「人間の声」を聞き比べてみると、両者の個性の違いがはっきり分かるはずです。
(小生自身、同じジャンル内でもレコーディングソースの味付け度合いとか、
ボーカルの有無、その時々の心身状況などに応じて使い分けております。)

なお、ちと蚊帳の外?のK141-Monitorはリスニング専用としては少々不向きか、、と。
(但し後継機種のK141-Studioはまた異なるチューニングが施されているかもしれません)
スタジオでのモニタリング使用、演奏途中の耳へのスムースな着脱には、
ベースラインが明瞭なK141-Monotorの選択がもっとも相応しいか、と思われます・・・。


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AKG K701

2005年9月にリリースされて待つこと約半年、待望のK701がようやく手元にやってきました。
AKGファンの皆様のために、レポートさせていただきます。

K701 スタンド上にて


K701 外箱
其の1.【 パッケージ 】

黒とゴールドのツートンカラーで構成された、シックなパッケージデザイン。
外箱の裏にはシリアルナンバーとバーコードが貼付されています。
(本体ヘッドバンド右内側にも同様のナンバリングが施されています)

外箱を抜くと、黒一色の中箱が出てきます。
両サイドに開く左右の蓋の上にはそれぞれ
「Expect」
「and discover」
の白抜き文字。そして
中箱の底には
「Perfection」。

(と、聴く前に所有者の期待を思い切り膨らませます)

ちなみに簡易型ヘッドフォンスタンドが同梱されています。

K701 外箱と内箱



K701 本体・スタンド・プラグ
其の2.【 本体外観 】

↑本体をスタンドに立てた状態。
イヤーパッドは厚くて質感もまずまずです。

6.3mmプラグの取っ手部が樹脂のため、せっかくの
高級感を損ねているような感が一見しますが・・・

3.5mmへの変換プラグは、ゴールド一色でOK。
そしてグレー色のケーブルはK240Sのそれよりも太く、
「AKG ACOUSTICS high performance bi-wiring cable」
と白文字が薄くプリントされています。
(K601は bi-wiring 仕様ではないかもしれません)

このようなさりげない「質実剛健さ」に好感が持てます。


K701 本体側面

本体は白とシルバー色(アルミ?)でデザインされています。



K701 ヘッドバンド
其の3.【 装着感 】

ヘッドバンドは赤茶色のレザー製。
AKGの文字が刻印されています。

イヤーパッドには、円周の中で厚みに偏差をもたせており、
パッドの取り付け角度を工夫することで、最適な装着感が
得られる作りとなっています。これにより、
想像以上に快適なフィット感が実際に得られました。
("3D-Form" ear pads と命名されています)



K701 振動板ユニット
其の4.【 音 】
振動板は乳白色で半透明のユニット。
(ちなみにK500のそれは透明です)


さて肝心の音について・・・。

ひと言でいえば、天がニ物も三物も与えたような「優等生」的質感。

ダイナミックレンジは大変広く、特に低域での締まりが印象的で
K500(あるいはK501)とはまた指向の違う傾向となっています。
イヤーパッドと肌との密着性も良いせいか、まるで密閉型のような
静かで豊かな音場と、確かな解像度が得られます。

これまで聴こえていなかった音に遭遇する場面が少なくないかもしれません。


以上のように、単体で評価するとなんら不満のない
まったくの「優等生のよい子」ちゃんなのですが・・・
永年愛用し続けてきたK500と比べると
高音域にて薄いベールが掛かったような、
高音の伸びの不自然さを覚えてしまいます。

耳の習慣のせいかもしれませんが、それだけに
K500の高音の伸びの素晴らしさを再認識する、
ちょっと皮肉な結果となりました。

今後同じようにエージングを地道に施していくことで
自然な質感がいつか現れてくることを期待します。

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KG K271MKU

2008年、Kシリーズスタジオヘッドフォンのラインナップが一新されました。
『K271MKII』『K171MKII』『K240MKII』『K141MKII』の4種類。
そのうちの一つ『K271MKII』についてレポートをしてみたいと思います。

K271MK2 package
其の1.【 パッケージ 】

黒とグレーのツートンで構成されたシンプルでシックなパッケージデザイン。



K271MK2 同梱品
其の2.【同梱品 】

前作K271Studioから大きく変わった点のひとつが、この同梱品。
レザー地の標準イヤーパッドに加えヴェルヴェット地のパッドが
同梱されています。もうひとつはストレート標準ケーブルに加え
カールコードも今回新たに追加、同梱されました。
これらはスタジオとコンシューマ双方の使用場面を意識した
企画かと推察されます(他にAKGの大きなステッカーも同梱)。



K271MK2 外観
其の3.【 外観と装着感 】

次の小さな変更点を除いて、外観上は前作K271Sとほぼ同じです。

1つ目の変更点は、ヘッドバンド上のロゴが塗り潰し文字であること。
(しかし同社HP上の写真では従来と同様、白抜き文字となっています)

K271MK2 外観2

2つ目の変更点は、ハウジング外装色が黒から濃紺に変わったこと。
3つ目の変更点は機種表示、LR表示、センターキャップ表示として
ステンレス?の下地を利用していること(視認性が劣化したかも)。
最後の変更点はイヤパッド外周のスティッチがなくなったことです。


次に装着感ですが、大きさの割りには軽く、締め付け感もそれほど
強くないため、長時間使用でもストレスはないと思われます。特に
ヴェルヴェット地のパッドは肌に優しい使用感です。ただ密閉型の
宿命か、夏場にハウジング内部が蒸れやすくなると懸念されます。



K271MK2 振動板
其の4.【 音 】

振動板は透明。同社サービスマニュアルによると、振動板ユニットの型番は
「2606B00050」。他モデル『K171MKII』『K240MKII』『K141MKII』いずれの
サービスマニュアルに於いて、意外にも同じ型番が記載されています・・・。

音の傾向は「繊細さとフラットバランスに優れたAKGらしいチューニングに
仕上がっている」という第一印象。特に中~高音域における繋がりが非常に
スムーズなので、女性ボーカルが艶やかに鳴り響きます。一方低域をあえて
誇張するような設計にはしていないと思われ、K701のような意図的な低音の
厚みを当機に求めるのは御門違いなのかもしれません(ただK240Studioで特に
感じられた妙なこもり音は感じられず、極めてタイトな低音が好印象です)。

総じてAKG特有の繊細さとフラットバランス双方を合わせ持っていますので、
アコースティック系ソースのリスニングには最適だと思います。 ~以上


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UP! 緊急レポート AKG K712PRO(2013.11.13購入)

AKG社よりK700シリーズ初代モデルであるK701がリリースされて丸8年が経過した
2013年9月、本機K712PROが5代目モデルとしてリリースされました。
なお本モデルの履歴は次の通りです。
<K701 → Q701 → K702 → K702 65th Anniversary Edition → K712PRO>
今回は手元にあるK701と比較してレポートしたいと思います。


其の1【パッケージ】

白を基調とした清楚で洗練されたイメージのパッケージデザイン。
前作K702 65th Anniversary Editionからこの色調が採用され、
本体のフルモデルチェンジがなされたことを予感させます。
外箱の背面にはK701と同様、シリアルナンバーが貼付されています。



其の2【同梱内容】

黒一色の中箱の蓋を開けていくにつれて「Expect」「and Discover」「Perfection」の
白抜き文字が順に現れるデザインは、K701と同様です。

中箱の中にはビニールに包まれた本体はじめ、国内代理店ヒビノの保証書(写真左端)、
黒色キャリングポーチ、AKGの保証カード、そしてAKGステッカーが同梱されています。
個人的にはキャリングポーチの代わりにK701同様、本体を据え置くことのできるスタンドを
同梱して欲しかったところです。





其の3【本体外観】
外観上の基本デザインはコードが交換式か否かの違いだけで、他はK701とほぼ同じ。
コードを含めて本体筐体はオレンジ色と黒のツートーン、文字色はシルバー色で統一され、
非常に精悍な印象を与えます。

基本プラグはK701が6.3mm標準だったのに対して本機は3.5mmのミニ。
あらかじめコネクトされている6.3mm変換プラグは全体が金メッキ処理されて安心感があります。



其の4【装着感】
ヘッドバンドはK701と同様、レザー製の上に「AKG」の文字が中央に刻印されていますが、
本機は黒色バンドの縁にステッチをオレンジ色であしらった、まさにヨーロッパ調デザイン。
バンド形状も前作から前後非対称のおしゃれな曲線デザインに変わり、その幅も
K701と比べて16mm狭くなりました(幅の最大部位値…K701:56mm, K712PRO:40mm)。

K701で物議をかもした裏の「コブ」も前作から消滅し、頭頂の違和感の懸念は払拭されました。
ただイヤーパッドには、K701で採用された掛け心地に貢献する円周方向の厚みの偏析はありません。
またクッション材が低反発素材に変更されたせいか、K701よりも肌にパッドの硬さをより強く感じます。

限られた点数ではありますが、手持ちのAKG Headphones 11機種の装着感に関する個人評価は
現時点で次の通りです(カナルタイプは除く)。
【K77 > K420 > K550 > K500 > K701 > K601 > K712PRO > K271MKU > K240Studio > K450 > K141Monitor】



其の5【音】
(新開発の振動板ユニットはK701同様、乳白色で半透明です)

最後に肝心の音について…。

スコッチに例えると、K701を「グレン・リヴェット」と仮定すると
K712PROは「ザ・ロイヤルハウス・ホールド」といった感じ。

K701の音を7年半前に初めて耳にしたとき、ダイナミックレンジの広さと
低域のタイト感、解像度の高さに大変感心したのを覚えています。
しかし今、そのK701をベースに本機を聴いて、低域における進化を歴然と感じました。

具体的には、低域方向へ音圧がぐっと伸びており、ブーミーさのない
卓越した解像度を低域でもきちんと保持しています。
したがって全域に渡ってレスポンスは極めてフラット、解像度も非常に高く、
これまで聴こえてこなかったいわば「原音の襞」を再生してくれます。
またK701に当初感じた高音域の伸びの不自然さも本機ではほとんど感じることはなく、
K601に優るとも劣らない高音域の自然な質感を兼ね備えています。

そういった意味でK712PROはまさに「AKGのフラッグシップモデル」の名に相応しい、
孤高のレベルに達した感すらします。

本機はあらゆる音楽ジャンルにマッチする「リファレンス」となり得る実力を誇っていますが、
本機ならではのアドバンテージを最も体感できるのは、ベースの音色。
とりわけベーシスト・Marcus Millerの奏でるベース音は、本人がまるで
目前で弦をつま弾いている姿がイメージできるほどの臨場感ある音色です。
それを一聴したとき、21年前に受けたK500初試聴の衝撃と同じぐらいの
激しい衝撃を彷彿しました(K700シリーズ2作目「Q701」はQuincy Jones modelとのことですが、
本機はそれにならって「M712PRO(Marcus Miller model)」と命名して頂きたかったものです。
機会がありましたらMarcus Millerのベース音をぜひご一聴ください)。


装着感を除いてK701の実力を見事に凌駕してしまったK712PRO。
以来K701は残念ながらお蔵入りと相成り、しばらくK601,K550と併用して行くこととなりそうです

(K601はK500に代表されるAKGの伝統的な音色を大切に継承しているため、
ヴァイオリンなど弦楽器の楽曲鑑賞にはどうしても手放すことができません。
もう一方のK550は超低反発イヤーパッドの掛け心地のよさがなんとも堪らず、
K600・K700シリーズにも将来、ぜひこの肌触りを反映してほしいと願うばかりです)。

つぶやき…
近日中のリリースが漏れ聞こえるK812(Superior Reference Headphones!)の価格は、
どうやらK712PROの約3倍。
「ザ・ロイヤルハウス・ホールド」の3倍の味わい…今から期待が膨らみます。


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UP! 緊急レポート AKG K612PRO(2013.11.29購入)

AKG社K600シリーズ初代モデル[K601]がリリースされたのが2006年。
あれから7年経過した本年2013年9月、本機K612PROが2代目モデルとしてリリースされました。
今回は手元にある初代モデルK601と比較してレポートしたいと思います。


其の1【パッケージ】
先述した同時期発売のK712PRO同様、白を基調とした清楚で洗練されたメージのパッケージデザイン。
フルモデルチェンジがなされたことを予感させますが…果たして音色のほうは。
(なお外箱の背面にはシリアルナンバーが貼付されています。)

其の2【同梱内容】
黒一色の中箱の蓋を開けていくにつれて「Expect」「and Discover」「Perfection」の
白抜き文字が順に現れるデザインは、K712PROと同様です。
中箱の中にはビニールに包まれた本体はじめ、国内代理店ヒビノの保証書、AKGの保証カードが
同梱されています。ただどういうわけか、AKGステッカーは入っていませんでした。


其の3【本体外観】(写真左:K601, 写真右:K612PRO)
外観上の基本デザインはご覧の通りK601とほぼ同じ。
違いはヘッドアーム・イヤーパッド・コードの色、ロゴマークの有無、シルクスクリーンの文字ぐらいでしょうか。

ところでヘッドバンド裏には「Made in Austria」のシールが貼付されています。



K712PROのようにシルクスクリーンでその文字列が印字されなかったのは、
前作K601のように近い将来、生産地を中国に移管することを予め見込んでいるからなのか否か
…真意の程はまったく判りません。
(ちなみに今回比較対象に使ったK601は「Made in China」のシールが貼られた中国生産品です)

基本プラグはK601が6.3mm標準だったのに対して本機は3.5mmのミニ。
あらかじめコネクトされている6.3mm変換プラグは全体が金メッキ処理されていて安心感があります。



其の4【装着感】(写真左:K601, 写真右:K612PRO)
ヘッドバンドはK601と同じサイズで、グレーのレザー製の上に「AKG」の文字が中央に刻印されています。
K612PROのほうが色目は若干濃く、柄の網目は細かくなったという外観上の変化はあるものの
ヘッドバンド裏面とイヤーパッドの触感はともに、K601とほぼ同じであることから、
ヘッドバンドゴムのへたり具合以外、装着上の差異はほとんど感じられません。


其の5【音】(振動板ユニットはK601と外観上、ほぼ同じです)

最後に肝心の音について…(エージング時間は6時間程度です)。

パッケージデザインが大きく変更されたので、音の進化もそれなりに期待されたのですが、
「残念ながら」というべきか、「案の定、」というべきか…変化は殆ど感じられませんでした。
おそらく振動板ユニットとネットワークは同一なのでしょう。
(仮に後日さらなるエージング効果が認められた場合は、再レポートしたいと思います)


K601は数年前、予告もなくす〜っと消え入るようにマーケットから姿を消して行ったがために
入手しそびれた方も少なくないかと思われます。
しかしながら今回の比較試聴で後継機種であるK612PROとの音の違いはよくも悪くも
認められませんでしたので、K601を買いそびれた方は安心して頂いてよろしいかと思われます。


K601からの進化は認められないものの、よい意味でK712PROとは一線を画しつつ
伝統のAKGサウンドを継承し続けたK612PRO。次期モデルがどのように進化してくれるか楽しみです。


tTo be continued…